株式会社SHIN9

■会社概要

・社名:株式会社SHIN9(シンキュー)
・代表取締役:小泉英一
・創業:平成15年7月
・事業内容:鍼灸・柔道整復
・本社所在地:大阪市港区弁天1-2-30オークプリオタワー2階
・WEBサイト:http://www.shin9.co.jp
・社員数:73名

 

 

株式会社SHIN9様は整骨院を10店舗経営されていますが、
いちはやく受付の女性スタッフの戦力化に取り組まれ、成果をあげておられます。
全受付女性の正社員採用、受付リーダーの育成等、業界がなかなか踏み切れないことを形にされ、
大注目の企業様です。本日は、小泉社長にお話をお伺いします。

 

(髙野 以降 髙)本日はよろしくお願い致します。
(小泉社長 以降 小)よろしくお願いいたします。

 

(髙)SHIN9さんは整骨院業界には珍しく、新卒採用をメインにされているのですね。

(小)新卒採用は、昨年からスタートしましたので、
今年で2年目となります。今年4月入社が新卒2期生です。

今までは即戦力の中途採用を中心にしていたのですが、
理念を実現していくことを本気で考え出す中で、「理念経営」の重要性
を痛感するようになりました。その為にも、まだ真っ白な新入社員のうちから
育成することが大事だと考えました。

また、新規出店を計画通りに達成していくには、 当然新規スタッフの採用が必要になりますが、
この業界は、中途採用がとても難しいんです。
会社の成長スピードと、人材確保をうまく噛み合わせる為にも、新入社員として採用することに
切り替えようと思ったのが去年です。

 

(髙)なるほど。お話にあった理念経営を意識するようになったのは、いつ頃からですか?

(小)5年前くらいでしょうか。ある研修会に参加して、
「何のために会社を経営しているのか。これからどうしていきたいのか」
今まで以上に真剣に考えるようになりました。
自分自身がもっと勉強しないといけないと気付き、そこからは積極的に研修に参加したり、
勉強できる環境に身を置くようにしています。
私たちの会社の理念は、

“「院は患者様の為にある」という視点で、患者様が求める最良の医療を付加価値の高い治療と
 ホスピタリティあるサービス力で提供いたします。”

というものですが、この理念を実現していくには、技術教育と共に、
根幹で理念が浸透する教育をしていかないといけないですよね。

社長一人では達成できなくて、みんなが一丸となっていかないといけない。
先ほどもお話しましたが、そのために、新卒のうちから鍛えようと思ったんです。
その為にも、学生さんが「入社したい!」と思える魅力的な会社にすることが大切だと思い、
現在も社員教育にはかなり力を入れています。

 

(髙)新入社員さんの存在が、上司や先輩の刺激にもなりますね

(小)そうですね、院長や先輩も「毎年レベルがあがってる。うかうかしていたら抜かされる」
と感じているようで(笑)、気合が入っています。
新入社員さんの意識も高く、「患者さんに喜んで頂くために」と素直に考えられる人や、
成長意欲が高い人が多いです。また同期という結束も強いので、同期の中でも、励まし合い、
刺激しあい、切磋琢磨してもらえるのがいいですね。
去年入社の新人は、まだ一人も辞めてないんです。
「辞めたい」というスタッフが出ても、仲間が一生懸命フォローして、またモチベーションがあがり、
今はいきいき働いてくれているというパターンもあります。

 

(髙)小泉社長が見て伸びる人材とはどのような方々ですか?

(小)やはり「素直に行動できる人」ですね。
そして「行動することを継続できる人」
何歳になっても、どんな立場になっても、結局ここに尽きるのではないでしょうか。

素直な人は感謝力が高いですし、謙虚です。周りを大事にできますよね。

うちは、一つの院の中で、院長や施術者やレセプションがチームで仕事をするので、
チームワークが必要不可欠です。自分が成長することはもちろん大切ですが、
「我が我が」ではなく、チームワークの大切さを理解した上で動ける人でないと
院は成り立ちません。職種問わず、採用でも、そういうところに重きを置いて見ていますね。

 

(髙)その中で受付の方を育てようと思われたきっかけは何ですか?

(小)当社では「受付」という呼び方ではなく、レセプションという呼び方をしています。
そのほうが、かっこいいですしね(笑)

レセプションを育てようと思ったのは、4年くらい前からです。
整骨院業界は、レセプションスタッフはパートがアルバイトという形が多いんです。
ただパートだと、午前中だけの出勤、午後だけの出勤という場合も多く話す機会も少なくなりますし、
アルバイトだと大学卒業と共に退職してしまいます。

また、「私はアルバイトだからそこまでは。。」という形になると、組織が1枚岩になることなんてできません。
また、レセプションスタッフが退職すると、その院の力は一時的に必ず落ちますし、
その状態を繰り返していては、会社は発展しません。
やはり、レセプションスタッフにも長く活躍してもらって、いち仲間として
ビジョン実現を目指す方向に切り替えるしかないと思いました。

そこで今から4年前に、レセプションスタッフも全て正社員に切り替えました。

 

(髙)思い切った決断ですね。

(小)そうですね。正社員にしたからといって、レセプションスタッフさんの意識がすぐに変わったり、
私の想いが伝わる訳ではなかったので、何度も諦めそうになりました。
「ここまですることは、ないのかもしれないな。。」と思うこともありました。

また「整骨院の受付の仕事がしたい!」と思って入って来られる方はあまりいないので、
「他にやりたいことが見つかった」と退職する人や、これからという時に退職する人も多かったです。

「レセプションも一丸になるなんて無理なのかな。。求め過ぎなのかな。。」と何度も思いましたが、
それでも絶対に必ず形にする!という強い思いで、諦めずにやってきました。
ここにきてようやく、ステージがひとつあがったかなという感じがしています。

 

(髙)具体的にはどんなことをされたのですか?

(小)レセプションは、大体各院に一人です。院長や施術者は、ほぼ男性です。
ですので、身近に相談出来る先輩や同僚がいなくて、モチベーション低下や退職が起こることがよくありました。
一度は一緒に頑張ろう!と仲間になったスタッフが辞めていくのは、本当に辛いことですよね。
私にとっても、現場のスタッフにとってもです。

ただ、話を聞いていると「もし、もっと早い段階でフォローしていたら、防げただろうに」
と思うことが多々有りましたが、残念ながら院長も、フォロー仕切れない部分があったり、
やはり男性には相談できない部分もあると分かりました。

そこでまず、レセプションの横の繫がりを作り、チームにしようと考えました。
横のラインができ、何でも相談できたり、お互い励まし合い刺激しあえるチームになることができたら、
院の縦のラインだけではフォローできない部分も補うことができます。

その為に、レセプション勉強会を開催したり、委員会を作ったりして、
まずは定期的に集まって話をしたり、お互いを知る機会を作っていきました。
ナチュラルリンクさんにもセミナーを開いて頂きました。

 

(髙)その中でうまくいった部分、うまくいかなかった部分を教えて頂けますか?

(小)そうですね。「会う機会を作る」というのはできたので、それなりに距離は縮まりますが、
「何のためにやるか」という目的意識が弱いと、欠席者が出たり、せっかくの集まりの効果も弱くなりますよね。
また、場をまとめる人がいないと、愚痴で終わってしまって、建設的な場にもならないですし、
今後継続もしません。

そこで、やはりレセプションにもリーダーを作らないといけないと強く思うようになりました。
レセプションチームを引っ張っていってくれる女性が必要だと。
その流れで去年から、リーダーとサブリーダーを1名ずつ創り、
彼女たちがレセプションチームをまとめる組織図を創りました。

 

(髙)リーダーはどうやって決められたのですか?

(小)彼女たちが一番古株の2名だったんです。同期入社でもあったので、
2人で協力しあってもり立てていってくれたらいいなと思いました。
また、そのうちの一人が入社した新人の育成にも携わっていたので、
今後レセプションチームをまとめるにもやりやすいと考えました。

ただ、今までレセプションリーダーというポジションは社内にはなかったので、
彼女たち自身も戸惑う
ことが多く、
「リーダーといっても何をしたらいいのか分からない」
「目指す人がいないので、何を手本にしたらいいのかわからない」という状態からのスタートでした。
試行錯誤でしたね。
最初はリーダーとしての意識もそこまで高くはなかったですしね。

ただ、昨年の夏以降新店オープンのことでレセプションリーダーと話す機会が増え、
自然と自分の思いや会社の方向性を伝えることが多くなりました。

彼女が院をどう考えているか、これからレセプションをどうしていきたいかも、
色々聞くことができました。

そこで、
「結構会社の理念について理解してくれてるんだな」
「僕の思いを分かってくれてるんだな」と感じることが多くなってきて、
そのあたりから、彼女たちのリーダーの意識も高まってきたように思います。

 

(髙)では、具体的にリーダーには何の役割を任せられているのですか?

(小)主にはレセプションスタッフ育成とフォローです。

1.院長の数字の会議への出席
2.全レセプション共通のマニュアル作りの取りまとめ
3.新人スタッフへの業務と店舗でのフォロー
4.新店オープンの際のレセプション業務
5.新人研修企画
6.レセプション勉強会の企画と運営

等ですね。
細かいことを言い出すと色々ありますが、大きくは以上です。

今年から、新人研修やレセプション研修も企画してもらうことにしました。
ナチュラルリンクさんにサポートいただきながら、事前に打合せと準備をし、
当日研修にのぞみました。

大変だったと思いますが、プレゼンの勉強にもなり、自分たちが企画する側に回った経験が
彼女たちの自信にも繫がり良かったと思います。責任感も増したようです。

何より、新人が、「私もリーダーになりたい!」と目指してくれているようで嬉しいですね。
今までよりも、会議や打合せの時間は増えましたが、2人が一生懸命頑張ってくれていて、
とても感謝です。

 

(髙)一方で、院長への意識改革も大変だったと思うのですがいかがですか?

(小)ナチュラルリンクさんにも研修をして頂きましたが、日々の意識付けから変えていくことが
大事だと感じています。院長は技術者ですし、レセプションスタッフとは立場も違いますから、
その中でどう育てていけばいいのか、院長自身も試行錯誤でした。

また、女性には厳しく言えない、甘くなってしまうという院長も多かったですね。
過去に退職された経験があると、
「あまり厳しく言って、辞めてしまったらどうしよう。。」というのが先に立ち、言うべきことは言えず、
結局レセプションスタッフが育たないというスパイラルです。

ただ、なかにはうまくいっている院長もいます。
彼らは、会社の理念やビジョンを理解した上で、「自分がどうなりたい」「どういう院を作りたい」
という明確な目標を持っています。
その上で、言うべきことはしっかり言うし、厳しく伝えることもできます。
そういう院長のもとでは、レセプションスタッフも育っています。

現在のレセプションサブリーダーも、厳しい院長のもとで育ちましたが、
入社した頃と比べて大きく成長
しました。
そこまで叱ったりできるのは、愛情があるからこそですし、
レセプションも院の一員として考えているからできることだと思います。

それは、レセプションスタッフにも伝わりますよね。
こういう関わりができる院長が増えていくともっと院の成長は加速し、
レセプションスタッフも育つと思います。

 

(髙)女性は叱ってくれる上司を求めていますよね。
現在のレセプションリーダーに期待されることはなんですか?

(小)将来、幹部を目指して頑張って欲しいです。
レセプションは治療という技術は持っていなくても、マネジメントができれば
幹部になることもできますし、そういう組織になっていかないといけないと考えています。
今後のビジョンを実現する上で、社内に様々なポジションや立場が増えていく予定なので、
そこを掴みとってもらいたいですね。

レセプションという仕事は、なかなかキャリアプランを描きにくいのが現状です。
技術を持っている訳ではなく、仕事が数字であらわされるものではありません。
成長の実感が湧きにくいことも事実です。
ですが、院の中でとても重要な役割を担っていて、なくてはならない存在であることも確かです。

彼女たちが、未来を見据えて今を頑張ってもらうためにも、
今のリーダーには幹部まで目指して頑張ってもらって、後輩や部下にその後姿で希望を与えてほしい。
後輩や部下の、
「私もあそこまでいけるんだ!」
「私もがんばろう!」というモチベーションになれば、そこから次期リーダーも生まれると思います。

ただこう言うと女性の皆さんは、
「私は結婚もしたいし、子供も産みたいから、幹部は無理だ」と思う方も多いと思います。
でも私は、仕事を頑張ることで自分の魅力が増すと、プライベートも充実すると思うんです。

生き方は人それぞれなので、
もしかしたら、結婚したら会社を辞めるかもしれないけど、
仕事を一生懸命頑張って自分を磨けば、素敵な旦那さんと巡りあう事もできるでしょうし、
仕事の大変さ、喜びを理解できる女性は、
間違いなく旦那さんにとってのいい奥さんになれると思います。

今目の前の仕事を頑張ることが、
自分の人生を豊かにすることにつながるので、欲張りに頑張って欲しいです

 

(髙)素晴らしいですね。一方御社では育児しながら働ける環境はございますか?

(小)現在、子育てしながら働く女性スタッフはいますが、育休を取得して復帰した人はまだいません。
ですが当社では、全員が正社員なので育休制度も整えていますし、
女性が長く活躍するための体制は作っていっています。
このメンバーの中から、第一号が生まれるといいですね。

 

(髙)今後のレセプションリーダー育成についてはどうお考えですか?

(小)そうですね。特に今のリーダー、サブリーダーには、積極的に勉強しにいってもらいたいですし、
現に行ってもらっています。
ナチュラルリンクさんの女性管理職セミナーでもお世話になっています。

下を引っ張るには、まず自分が成長しないといけないですよね。
その為には、実際の仕事に加えて、知識量を増やすこと、人間的力を高めることが大切です。
貪欲に勉強してもらって、後輩や部下から尊敬されるリーダーになっていってもらいたいですね。

 

(髙)ありがとうございます。今年はSHIN9さんはますます飛躍していかれますが、
今後もサポートさせて頂きますのでよろしくお願いいたします。今日はありがとうございました。

(小)ありがとうございました。

関連記事

  1. 株式会社一保堂茶舗
  2. 丸蔵株式会社
PAGE TOP