誤解1.女性は20代半ばから仕事に対する意欲が低下するってホント?
「入社した頃はすごく頑張っていたのに、20代半ばを越えてこれからという時に、女性は仕事への意欲が低下しますよね。
逆に男性は最初はスタートが遅くても、20代後半になってから成長してくる人が多いです。」
役職者の方や人事担当の方からこういった意見をお聞きすることも多いです。
ですが、実際は仕事に対する意欲が低下しているのではなく、むしろ仕事をとても真剣に考えているのです。
20代半ばから、多くの女性が結婚や出産を考えはじめます。
「結婚して出産したら、今までのような働き方はできないな。
うちにはそこを乗り越えた女性の先輩もいない。どうすればいいんだろう…」
今まで仕事に真剣に向き合ってきた女性ほど悩みますし、現実的に将来を考えるようになります。
「仕事でしっかりと成果を出したいし、今の責任を全うしたい。
でも、結婚して出産してみなと同じように働けなくなったとしたら…
今から新しい仕事にチャレンジしても、途中でブランクになるかもしれない。
それならみんなに迷惑をかけることになる…」
上司から見れば、意欲が低下しているように感じられても、
実はそれは真剣に考え迷っている時期かもしれません。
「将来への悩みがあるなら、両立できる策を一緒に考えよう」
「今できることに一生懸命に取り組んでいれば、道はひらけるよ」
そういった上司の一言で、女性はまた安心して仕事を頑張ることができるのです。
誤解2.女性に泣かれた時は「トイレで泣いてこい!」と言ったらいいってホント?
「女性に泣かれた時、どんな対応をすればよいですか?」と役職者の方から相談を受けたことがあります。
「決してきついことを言ったつもりはないのですが、今日女性部下を注意したら泣いてしまったんです。言い方が悪かったんでしょうか。
そんな甘いことを言わず、職場では泣くな!と叱ったほうが良かったんでしょうか。。」
数日後、その方とまたお会いした時に、
「高野さん!僕があれだけ悩んでいたのに、次の日には彼女、ケロッとして、何事もなかったかのように仕事してるんです!何なんですかね!」
おいおいと突っ込みたくなる気持ちにもなりますね。
実は、女性が泣くことに、そこまで深い意味はありません。
悔しい、情けない、はがゆい、色んな感情が交錯し、思わず溢れてしまう涙です。
泣くことで気持ちはリセットされ、また仕事に向かうことができます。
そして泣くような場面に出くわす経験を経て強くなり半年もすれば、あまり人前では泣かなくなります。
職場で泣くのは良いことではありません。
ただ泣いた本人も「泣いてしまって周囲に申し訳ない」と思っています。
そんな時声をかける一言は、「泣きたくなるよな。でも、◯◯さんは大丈夫だよ。」で十分なのです。
誤解3.スーパーウーマンが最近どんどん増えているってホント?
世間では、バリバリ働く女性が増えてきたように思えます。
雑誌やメディアでも、仕事に貪欲でたくましい女性がよく取り上げられています。
ですが、そんなスーパーウーマンは、全体の働く女性の半数もいません。
そんな女性たちに「君も管理職を目指しなさい!」といったところで、
「私には関係ないこと」で終わります。
もっと向上心を持て!といったところで、目標をしっかり持って働いている女性も多くはありません。
まずは、無理に役職につかそう、引き上げようとするのではなく、楽しく働く姿を見せましょう。
楽しいから頑張る→だから結果が出る→認められる→楽しくなってまた頑張る→自分に自信がつく→さらに上の仕事に挑戦したくなる
この歯車を回すのです。
私も、もともとバリバリ働こうなんて思っていませんでしたし、母は専業主婦なので、女性が働き続けるなんてイメージもなく、選択肢にも入りませんでした。
でもおかげ様でトップセールスになれたのは、身近なトップセールスの先輩がとても楽しそうだったから。
私もそうなりたいと思ったことが始めのきっかけです。
ストイックに頑張り続けられる人なんてごくわずかです。
まずは「仕事って楽しい」と思う気持ちが大切ですし、その為にも、上司や先輩が楽しむ姿を見せていきたいですね。
誤解4.女性は叱られるのが嫌いってホント?
ナチュラルリンクではセミナー終了時に毎回アンケートを取っていますが、
以前行ったアンケート項目の「上司からもっと叱られたいですか?」という問いに、なんと9割の女性が「はい」と答えました。
現場の女性は実は「何がダメかちゃんと伝えて欲しい」と思っているのです。
「そうは言っても、叱ったら嫌な顔をするじゃないか、叱っても聞く耳持たないじゃないか」
という方もいらっしゃると思いますし、何を言うかより、誰が言うかは大変重要です。
ただそう言ってしまうと、話がそこで終わってしまうので、、、伝え方を変えることを考えていきましょう。
大切なのは、ダメなものはダメだと具体的に伝えることです。
遠慮気味に回りくどくなったり、感情論で伝えてしまっても、女性からすれば、「で、何が言いたいんだ?」で終わってしまいます。
叱る時は、
Step1.気遣う一言 今日は何かあったの? →この時点で注意されるってわかるので心の準備ができる
Step2.具体的に さっきの電話応対の言い方はお客様がすごく不快な気持ちになるからダメだよ
Step3.シンプルに1分以内で
Step4.明るく送り出す じゃあ、次の電話からは気持ち切り替えて頑張って!
一方で「上司は人には偉そうにいうのに自分は出来てないじゃないか」というのが
部下の大きな不満の1つです。
完璧な人間などいませんが、伝えていることを日々自分が実践できるようにも頑張りたいものです。
誤解5.女性の愚痴には的確なアドバイスで返すべきだってホント?
女性部下の(もしくは奥さんや彼女の笑)愚痴には、どんな風に対応していますか?
まさかとは思いますが、「え、それっておまえの言い方が悪いからそうなったんじゃないの?次からは、、、」とか、「で、結論は何?要するにさ、、、」など、コンサル気取りのアドバイスをしていないですよね?(笑)
前職で女性営業を育成していたとき、彼女達の日頃の仕事の愚痴を聞く機会も多々ありました。
「愚痴を言っただけでは何も解決しない!大事なのはその次にどうするだ!それを指導しなくては!」と思っていた私は、
いちいち正論で返していましたが、ある時彼女達が、「愚痴に正論で返されるとやる気をなくすね」と話していたのを聞き、大反省したことがあります。
女性部下「お客様が一度契約するっていったのに、電話が繋がらなくなったんです!きーむかつく!」
上司「えー、それは腹が立つな!一度やるっていったらちゃんと契約するんが男ってもんだよな!」
これでいいんです。
「いや腹立つっていっても、きっと君の対応が・・・」と言いたくなるところはぐっと押さえていれば、
「ですよね!腹たちますよね!・・中略・・・でも、私のクロージングも甘かったので、次からは経理の方も押さえておきます。」
と、自分で解決策にたどり着くものなのです。
「アドバイスを頂きたいのですが」「相談があるのですが」と言われたら、アドバイスしても大丈夫です。
でも一方で、「聞いてくださいよー!」という姿勢だった場合には、共感するのみに留めるのでOK。
誤解6.女性は責任を負いたくないから役職を敬遠するってホント?
確かに、責任が増えたくないという気持ちもありますが、女性が役職に就きたくない本当の理由は、
日本の企業の長時間労働と評価基準、そこからうまれた風土にあります。
日本は、「長く働くことを良し」とする風土が根強く、管理職になれば、休日の会議や残業が増える会社も多いです。
役職につくのは、早くて30代前半。女性の第一子出産年齢の平均が平成23年時点で30.1歳ですから、ちょうど役職者につく時期とぶつかります。
育児しながらでは、女性は物理的に長く働くことはできませんから、役職=長時間労働では、女性役職につきたくてもつけません。
また育児も家事もなかなか片手間にできるものではない中で(妻が夫の3.5倍も家事をこなしているデータもあるんです)、
「一人何役もこなしてさらに役職なんて到底無理だな…」というのが女性の本音です。
ナチュラルリンクでは、私の出産を機に、在宅ワークを積極的に取り入れ、時間に柔軟な働き方と効率化を実践しています。
最近は時短勤務の管理職が誕生する会社も出てきていますが、働いた時間で評価するのではなく、
出した結果や、タスク量で評価できる体制になると、もっと女性も役職を目指しやすくなります。
責任を負いたくないのではなく、「仕事も育児も妻の仕事も、やるからには中途半端にせずちゃんとやりたい」
という女性の真面目さの表れです。
とはいえ、すぐに残業をゼロにしたり、在宅ワークをすることは難しいので、
まずはできる部分の業務の改善からおこなってみて下さい。
誤解7.ロールモデルがいないから女性は将来が描けないってホント?
ロールモデルというのは、後輩からみて目標になるような存在のことです。
目指す人がいれば頑張れます。私も、営業で頑張ることができたのは、そばに女性の素敵な先輩がいたことが大きかったです。
ですが、最近は、ロールモデル探しを意識しすぎるあまり、
「ロールモデルがいないから将来がイメージできない」「ロールモデルがいないから頑張れない」
という風潮が強くなりすぎている気がします。
考えてみれば、自分が目指す方向と完全に一致する人なんて、なかなか現れないものですよね。
「あの人は素敵だけど、私には無理そう」「あの人はここはいいけど、ここはちょっと違う」
このように言っていては、青い鳥症候群になり、ロールモデルを追い求めているうちに、
気づけば10年経ってしまった…なんていうことになりかねません。
完全に自分の理想と一致する憧れの人がいたら、その人を追っていけばいいですが、
そのような人がいない場合でも、様々な上司や先輩の良いところを盗んでいけば、
全員がロールモデルになります。
当社の前本も前職では、
「仕事の速さはこの人のここを真似しよう」「この先輩は人を巻き込むのがうまいな」
「この上司のように家族を大事にしながら働きたいな」という風に、
色々な先輩の働き方を参考にして、その人達に相談してきた結果、
自分なりの働き方が作られたとよく言っています。
もし今後女性社員さんから、「目指す人がいなくて将来が描けない」と言われたら、ロールモデル探しはもうやめて、身近にいる人たちの働き方から、
自分なりの道を見つけていけるようにアドバイスしてみてください。